市原中央ロータリークラブ週報　2025.04.22

皆さん、こんにちは。2012、13年度に、イギリスに留学させていただいておりました宮坂真依子と申します。本日は、お招きいただきまして誠にありがとうございます。きょうは、2790地区の時田さんの年度に企画されてます八犬伝プロジェクトというものについて、私なりの理解をしてるところでお話をさせていただきたいと思いまして参りました。『南総里見八犬伝』を通して見直す、日本独自の徳というテーマのお話をさせていただきます。本日のトピックなんですが、一応、私は誰なのかっていう簡単な自己紹介は必要だと思いますので、それを話しまして、その後、2790地区の2025、26年度の八犬伝プロジェクトの紹介をさせていただいた後に、その『南総里見八犬伝』という話そのものについて、少しお話をしたいと思います。
　自己紹介というのは、もう何度も言っていただいてるんですが、2012、13年に柏ロータリークラブから推薦を受けまして、イギリスのブリストルという町に大学院の留学をしてまいりました。ブリストルロータリークラブさんに受け入れていただいてました。帰国後、こちらの地区の奨学生経験者がつくる学友会という会があるんですけども、そちらの幹事を3年間しまして、その後に会長3年間しまして、今は晴れて学友会から足を洗いまして、日本のほうで学友会といえば高木先生が代表幹事をされている、全国的ないろんな地区の学友が集まってる会の幹事をさせていただいております。ということで、一応、こちらの市原中央ロータリークラブの方を中心に、学友とか仲いい方たちと交流してますよという。高木先生もちゃんと入ってますね。あとは、事務局のミドリさんもちゃんと写真に写ってますので、見てくださいね。その後、自分が何やってるかって話なんですが、イタリアのフィレンツェに1年間、行って在外研究をしておりました。私の専門が、西洋古典学といいまして古代ローマの文学を専門にしております。今は大学で、こちらにある京都大学とか早稲田大学とか、いくつかの大学さんで、ラテン語とかギリシャ語とか、西洋文学というものを教えているんですね。なんで『八犬伝』なのっていうところなんですが、私、ラテン語、ギリシャ語で生きていくのが厳しいということに思い至ったんですね。じゃあ日本語を教えようと。外国人に日本語を教えようということで、日本語講師の資格を今、取得しようとして勉強してます。日本文学も、比較文学ということで、ちょっと注目したほうがいいかなということを考えていた矢先、大倉先生から、こういうのがあるんだけど、どう？っていう声を掛けていただいたんですね。偶然なんですが、私、文学に描かれる徳というものを、ずっと研究してきたんですね。ただ、対象が西洋文学だったってことなんですが、主に古代ローマの文学を対象にして、その文学の中に描かれる徳っていう。ラテン語でいうとfidesという言葉なんですが、英語だとfaithに当たる言葉ですが、これに着目して十何年、研究をしてきたと。博士号をやっと取ったというところなんですが。ありがとうございます。昨年3月に、やっと晴れて博士号取りまして、ちょうど『南総里見八犬伝』やるんだけど、徳の話だよっていうことだったので、私にも、もしかしたら何かお手伝いできることがあるのかもしれないと思って、お引き受けさせていただいたというところです。テーマが、『南総里見八犬伝』を通じて、道の心、徳の心を知ろうというのが、次年のプロジェクトの目標なわけですよね。このプロジェクト、どんなのなのでしょうということで、『南総里見八犬伝』と日本独自の徳の観点に着目をしていこう。
　そもそも、新渡戸稲造さんが『武士道』というものを書いたと。それを基本に一番、考えましょうというのを、時田ガバナーエレクトがおっしゃっていて、『武士道』を書くきっかけとなったエピソードっていうのを書いて。バッジを皆さん、持っていらっしゃいますか。バッジの紙の所に書いてあるんですけれども、なぜ『武士道』を書こうと思ったかっていうことなんですが、新渡戸さんがアメリカにいたときに、日本では宗教教育、学校でないですよねって指摘されたんですね。じゃあ、どうやって道徳教育するんだと言われて、ふと、自分が子どもの頃に善悪とか正・不正の観念を学んだのは、武士道からだったんだということに気付いたと書いているんですね。この、武士道というものとか封建制度ですね。日本独自の封建制度があったわけですが、これを理解しなければ日本の道徳観念は消えちゃうんじゃないかと考えて、こういうものを文章化しようということに思って『武士道』を書いたんだよっていうことが書いてあるわけですね。なんですが、実際、武士道の担い手っていわれる武士って、そんなに多くなかったんですね、社会の中に。じゃあ武士道という精神は、どうやって一般庶民の人たちに広まってったのかということで、それを伝えたのが文学作品だということなんですね。文学作品、特に『南総里見八犬伝』は、庶民がすごく好んで読んだということが、いろいろな角度からいわれているんですが、武士というのは、作中に描かれてるんですけども、勇猛果敢な精神とか高潔な徳っていうものを、面白おかしいというか、楽しい物語の中で理想の姿として描いていたと。それで人気を博したといわれているんですね。その一つの証拠として、明治になって現代、近現代の文学が、旧時代を乗り越えて新しい文学、作らなきゃいけないんじゃないかっていうふうに、坪内逍遥、小説の神様といわれている人ですけども、あえて『八犬伝』がライバルだっていうふうに述べたんですね。それぐらい『八犬伝』は、江戸時代にすごく人気があったってことが分かってると。2025、26年度の行事として『南総里見八犬伝』に着目して。しかも舞台の物語となってるのが、主に千葉ですね。千葉だけではないんですけれども、関東八州と呼ばれてる近隣の地域も入ってるんですけども、基本的には千葉が中心になっているために、その魅力を見直しましょうと。
　『南総里見八犬伝』に登場する、八徳っていう概念が出てくるんですね。それが、ロータリーが大切にしている道徳を関連付けましょうと。日本独自の徳っていうのを、もう一回、考えてみましょうってことなんですね、この年度に。それによって、ロータリーの公共イメージ向上に寄与しましょうというのが、今回の目標だというわけです。『南総里見八犬伝』ってどんなものなんでしょうっていうと、皆さんは、もうご存じだと思うんですが、振り返りをしておくと。作者が滝沢馬琴ですね。江戸時代後期を代表する読本作家といわれています。この作品、28年間かけて完成してるので、ものすごく長い時間をかけて完成してるわけです。全98巻、106冊の伝奇小説と呼ばれる、ファンタジーが含まれてる話なんですが、基本的に重要なのは、勧善懲悪とか因果応報っていうものがテーマになっている。だから、いいことをした人は救われるし、悪いことをした人は悪い結果になりますよというのが、完全に徹底されている小説なんですね。だから、読んでいて、すかっとするみたいな、そういうことなんですよね。だから人気があったと。舞台になってるのが、現在の千葉が中心になってると。安房、下総、上総を中心にした関東八州だよと。その中に、八徳と呼ばれる仁、義、礼、智、忠、信、孝、悌という八つの徳というのが出てくるんですね。この文字が入ってる珠を持ってる、八犬士と呼ばれる8人の犬士が、主人公として登場する物語なんです。この物語の発端って、長く書いてあるんですけど、一応、重要なのは、この物語が、実は信義の根幹というのは約束を守ることなんだっていうことを、物語の最初に、そもそも八犬士が生まれた逸話の中で言ってるんですね。そもそも里見氏という、もともと実際、歴史上に存在している千葉の領主だったんですけども、この里見義実という人が、敵と戦っている中で敵に攻められて、敵の首を何とか取りたいと思っていたんですけども、なかなかできなかったと。自分の飼い犬である八房っていう、白い体に八つの黒いぶちがある犬に、敵の首を持ってきたら娘の伏姫を嫁として与えようというふうに、冗談なんですけれども言ってしまった。そしたら、八房は人間の言葉を理解して、実際に敵の首を持ってきたんですね。なので、どうしようというものなんですが、それで実際、勝つことができたと。当然、最初は里見義実も、いろんな他の褒美をあげて、しらばっくれようとしたわけです。なんですが、八房は結局、他の褒美には全く目もくれず、あくまでも約束の履行を求めたと。最終的には伏姫が、君主が言葉を翻すっていうことはいけないんだと。ちゃんと約束を守らなきゃいけないんだと言って、八房とともに、富山ってこれは読むんですけども、に入ったと。そこで八房と暮らすっていうことになるわけなんですが、そこからのいきさつは省きますけども、その中で、イヌの気によって、実は。気持ちの気です。気によって懐妊してしまったということが分かって。ですが、実際には妊娠してたわけじゃなかったんですね。おなかの中に入ってたのは、最初、呪いがあるので、その呪いが、おなかの中に子どものようになってたんですが、そこで伏姫は、ずっと仏教の道に入って功徳を積んでいたので、それが先ほど出てきた八徳っていう言葉に変わって、その文字が首に着けていた数珠の中に一つ一つ入って、それが世界に散らばっていくっていう。ちょっと、いろいろ省いてるので、ちゃんと本を読んでいただくか、映画が実は、後で紹介しますけれども、いっぱいこの八犬伝って映画化もされてますし、マンガ化もされてますので、気軽に見ていただくといいんじゃないかなと思うんですが。地図を見ていただくと、基本的には千葉の安房が中心になってるんですけども、なので、館山城が中心になっていますが、広く関東八州が物語の舞台になっています。
　八犬士と呼ばれる人たちは、仁、義、礼、智、忠、信、孝、悌という、それぞれの徳を体現する存在として描かれているんですね。まず仁というのが、そもそも儒教の根本理念で、自他の隔たりを置かず、一切のものに親しみ、情け深くあることという徳なんですね。愛情を他に及ぼすこと、慈しみ、思いやり。そういうものを体現してるのが、この犬江親兵衛仁という人です。次に、犬川荘助義任という義という珠を持っている人物なんですが、この義というのは、道理を指すと。人間として行うべき筋道だと。利害を捨てて、道理に従って人のために尽くすことを指している。次は犬村大角礼儀。それぞれの主人公の名前に、仁、義、礼、智、忠、信、孝、悌の一文字が必ず入ってるんですね。それぞれ宝珠って呼ばれる珠を持って生まれているということなんですが、人の行うべき道が礼であると。社会の秩序を保つための生活上の定まった形式。敬意をもって決まりに従うこと。敬ってお辞儀をすること。こういったものが礼で表されているものです。次に、智ですね。犬坂毛野胤智というこの人物は、ずっと女装をして、女の人に身をやつして敵を討とうとしている。だから、智謀を使って思っていることを達成していく犬士なんですけども、物事をよく理解し、わきまえていること。賢いこと。是非を判断する心の作用のことを、智というと。次、忠ですね。犬山道節忠与ですが、真心を尽くして忠実なこと。まめやかで、主君に対して臣下として真心を尽くすことが忠というのになります。犬飼現八信道、信ということですが、欺かないこと、言を違えぬこと、思い込んで疑わないこと、信用すること、帰依すること。信じるという言葉ですね。次に、犬塚信乃戌孝。この人物が一応、八犬士の中でも特に主人公といわれている人物で、父母によく仕える、考という字を持っている人物なんですが、この物語の真の主人公で、馬琴自身が重ねられているともいわれています。最後に、犬田小文吾悌順。悌という文字ですね。この文字は、兄とか弟とか、兄弟に対してすごく情が厚いとか、従順なことを指しています。そういう、心が優しい、背の高い、大きな、相撲をやっている人なんですけど、この人は、そういう人物だというふうに出てきます。八犬士は、それぞれ体のさまざまな部所に、ボタンの形のあざがあるんですね。それも全員、共通している特徴ということで、みんな、自分と同じあざを持ってる他の人を見て、なんか前世の因縁があるんじゃないかっていうことで、だんだんお互い集まっていくことになるんですね。生まれたときから八徳の一文字を書かれた宝珠。いろんな理由なんですけど、人によって、とにかく生まれたときから、それを持ってるという。その二つの共通項で結ばれてくるんですね。紆余曲折の後に、運命の導きによって八犬士は集結していくと。最終的に8名そろって、千葉の南端の安房にいる里見家に仕え、玉梓がいるわけですけども、その怨念を断ち切ることになる物語なんですね。実際に断ち切った後は、これまた不思議なんですが、ボタンのあざは全部、消えてしまって、全員が持ってた宝珠が、その犬士たちの手によって、それぞれが四天王の仏像に八つの目として収められることによって、里見家をこれから守っていきましょうというところで話が終わるというような、ハッピーエンドの話になっています。
　八犬伝にまつわるのは別に言わなくてもいいんですが、一応、皆さんも知ってますね。『DRAGON BALL』っていう有名なお話がありますけど、世界で有名ですね、今。これの元ねたになっているともいわれています。珠が世界に飛び散っていって、その珠を、みんな血眼になって集めるみたいな。そういうところが、ちょっと似てるんじゃないかみたいな話があったり。あとは、現在、大河ドラマでやってる『べらぼう』ですね。『べらぼう』にも、吉原の遊女屋の主人たち、忘八ってよく呼ばれてますよね。この忘八って、どういう意味かっていうと、この八っていうのは、八犬伝に出てくる、この八徳。八徳を忘れ去ってしまった人たち、八徳がない人たちっていうことなんですよ。実はこれ、全然、関係ないんですけど、古代ローマでも実は、同じように遊女屋の話に出てくるんですけども、その人たちは徳のない人たちって呼ばれてるので、そういう意味でも、比較文学としても結構、面白いんですけども。
　『南総里見八犬伝』、いかに根強い人気があるかっていうことで、NHK人形劇『新八犬伝』。辻村ジュサブローさんが人形劇をやったと。この人形劇も、地区大会で展示するんですよね。皆さん、これ見られますので、地区大会、行ってください。あと、小説。山田風太郎さんの『八犬伝』が結構、映画化もこの間されましたし、よく知られている版ですね。この人の手書き原稿も、地区大会で見せるんですよね。ということで、それも見に行ってくださいね。他にも、これは、どうなんでしょうね。地区大会では、なんかポスターとかでやるんでしょうか、分かんないですけど。深作欣二監督の、多分かなり有名な『里見八犬伝』の、薬師丸ひろ子さんが伏姫をやって、真田広之が確か、仁の珠を持つ親兵衛をやっていて。夏木マリさんが玉梓をやって、千葉真一さんが丶大法師をやるっていう、結構べたな感じなんですが、人気がありました。
　その後マンガ化もしてまして、碧也ぴんくさんが、これは馬琴の作品を、かなり忠実にマンガ化しています。なので私、これ結構、読んでいたのですけども、これで知っている人もいると思います。結構、人気でした。その後、スーパー歌舞伎でも『八犬伝』をやったりとか、あとは、これは『宮田雅之の切り絵八犬伝』も360作品。今回これを、いろんな千葉県の美術館に展示するというのが一応、メインのイベントになると思うんですけども、これも実物、見れますので、皆さん、ぜひ見てほしいんですが。他にも、宙組公演、宝塚でも『八犬伝』演じられていますし。これ、昔からやってるんですけども、一番最新なのが、この映画『八犬伝』。昨年、映画館でやりました。役所広司さんが馬琴を演じて、内野聖陽さんが葛飾北斎、土屋太鳳さんが伏姫をやるという。今も映画館、どっかでやってるそうです。まだ終わってないそうなので、今でも見れますので、ぜひ見てほしいです。DVDとかにもなってると思いますので。これは、実は山田風太郎の小説を映画化してますので、それは、先ほどの宮田雅之の刀勢画ともかぶっていて。これも山田風太郎の小説から切り絵にしてますので、同じように、虚と実という現代の、馬琴の生きてる時代と、その馬琴が作った作品の中の物語っていうのが交互に出てくるようなお話になってるんですけども、両方とも関係がありますので、これも分かりやすいので、ぜひ見てください。
　具体的にプロジェクトは何するのかっていうところも、ちゃんと話さないといけないんですが、県内6カ所の美術館で美術品を展示します。特に目玉になるのが、宮田雅之さんの『刀勢画・八犬伝』360点。他にもいろいろ出すわけですけども、一応これがメイン、目玉ですね。で、地区大会に八犬伝コーナーを設置します。さっきお見せした原稿とか、人形とか、そういうのも展示する予定だそうです。南総里見まつりと同日に、セレモニーイベントとして館山城の城山公演でランタンナイトというのを実施すると。これは、やるんですよね？ということで、ビデオを見せてる時間はないですね。カットしましょう。これは多分、別のところでも見られると思いますので。告知ポスターも今もう作られてまして、どこかで多分、目になさることができると思います。ここに、いろいろ細かいことが書いてありますので、それを見ていただくといいかなと思います。最後に、秋まつりですね。これが10月26日、日曜日で合ってますでしょうか、日程。お城で、館山城でランタンを飛ばしますよ。それで、イベントをやりますよということです。皆さん、参加してください。
　ということで、八犬伝が徳について考える企画になったとしたら幸いです。ということで、ご清聴ありがとうございました。だいぶ駆け足になりました。

点鍾	：髙橋会長
ソング	：不明
司会	：不明
お客様	：日本ロータリー学会学友会幹事　宮坂真依子様　日本ロータリー学友会代表幹事　髙木直之様